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Yosep Anggi Noen監督の最新作「Solo, Solitude」 [インドネシア]

何年か前の釜山国際映画祭で観た「Peculiar Vacation and Other Illnesses」(2012)の、心に染みいる男女間の機微が今も忘れられないYosep Anggi Noen監督は、その後には南城市をロケ地に沖縄県が製作して第7回沖縄国際映画祭に出品された短編「ルマ(Rumah)」(2015)の監督・脚本・編集も務めたそうだが、第69回ロカルノ国際映画祭では、最新作「Solo, Solitude」(2016)がワールドプレミア上映された。
先にシノプシスを読むと、民主化運動を封じ込めてきたスハルト独裁時代、活動家たちに大きな影響を与えたインドネシアの詩人Wiji Thukulについて描いたとのことだが、観終えて、なお前作同様に、男女の間にある、空気の流れのように眼にはみえない心のキャッチボールに深く感動した。
最初にテロップで、1996年に起こった民主化を求める暴動によって当局の取り締まりが激化し、Wiji ThukulはSoloの街から900km以上離れたボルネオに逃れたと説明がある。まずは社会派ドラマだろうかと思って観始める。Soloに残った妻子のところへも警察がやってくるだけではなく、日常を監視される。Wiji Thukulは避難先で名前を変えて詩を書き続ける。
男女間と書いたけれども、夫婦が揃う場面は最後にしか訪れない。それまでは別々の日々が過ぎるだけだ。それぞれの生活描写がまたいい。そして終盤に二人が旅館のひと部屋で密会する長回しの場面が、それがとくに感情的ではなくて日常のひとコマのようにさりげないのだけれども、かえって強く印象付けられる。この長回しの場面がエンディングとなって、ドラマは再びテロップの情報で締めくくられる。スハルト退陣時には、Wiji Thukulは行方不明になってしまっていたということ…。そうすると最後の場面がメモリアルのように思えてくる。
Soloという地名がそのまま英語題名になっているが、僕らが日ごろ単独、ひとりの意味で使う「ソロ」に重ねてみてしまうと、いっそう淋しくなる。
(2017年2月15日)


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