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ナイジェリア映画の製作現場のレポート番組 [ナイジェリア]

先月、横浜で関係各国の首脳が参加する第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が開催されたこともきっかけとなってか、春以降、アフリカ特集を組むメディアが多かったように思う。
これからはアフリカの時代だとばかりに、ニューズウィーク日本版や朝日新聞などに、暗記帳にもなりうるような、54もの国が位置する大陸図を掲載していただけると、丸暗記してやろうという、地理オタク魂がムクムクと膨れてくる。主要なアフリカ諸国をそれぞれ、特徴的にレポートするような企画もよくみたが、そのなかで主要国ナイジェリアを伝えるキーワードは、アフリカ最大1億6千万の人口、アフリカのドバイと称され急速に成長する経済、そしてボリウッドを凌ぐ年間2000本の映画製作、といったところかしら。ナイジェリア映画事情については、昨年2月にテレビ東京で放送された「未来世紀ジパング」という情報番組が詳しくまとめていて、それがたいへん勉強になったが、今度はWOWOWが、6月28日にノンフィクションWで「ノリウッドムービーができるまで〜ナイジェリア“世界一の映画都市”夢と熱」という、一本の映画の製作現場に密着した貴重な番組を放送してくれた。
焦点があてられたのは、29歳の新鋭、Charles Uwagbai監督。2013年の第9回アフリカ映画アカデミー賞(Africa Movie Academy Awards)のナイジェリア映画賞に、初監督作品「Okoro the Prince 」がノミネートされた注目の才能。それは、15世紀に実在した王国を舞台に王家の数奇な運命を描いた作品で、これまでのアフリカ映画にはない映像美が高く評価されたのだそうだ。賞は、Kenneth Gyang監督の「Confusion Na Wa」へと渡ったそうだが、番組はそのUwagbai監督の意欲的な最新作のクランクインからクランクアップまでを追った。
「Silhouette」というタイトルで、スラムの街で親から虐待を受けて育った女性が主人公。売春婦として成功こそするものの、満たされない彼女の心に迫った社会派ドラマだそうだ。製作費は100万円ほどという平均的なノリウッド予算で、いかにもノリウッドらしいという製作現場の実状をおもしろく観た。最初に書くが、ここで繰り広げられる映画づくりはアジア小国のそれと同じ、心の中で応援したくなるもの。
絵コンテはポップなコミック調。上手と思ったら、専門のライターに発注したものとのこと。クランクイン5日前になってキャスティング。引き受けてくれる女優がおらず、監督の婚約者が演じることに。ここからもう、インディペンデントのにおいプンプン。しかし3日前になって、交渉していた大物女優Ivie Okujayeが何とかOKしてくれて主役交替。前年のアフリカ映画アカデミー賞で新人女優賞に輝いた、華のある美貌の持ち主だ!
それにしても、社会的弱者の声を映像で伝えたいというUwagbai監督の情熱は熱い。主人公の心の襞を繊細に描くためには女性脚本家が必要と、プロデューサーと激論のあげく、4日前に脚本家も交替。当然、役者たちに脚本が配られるのは初日の朝となる。こんなことをしていて、初日ですでに製作予算はなくなってしまう。ここでまたスタッフたちとぶつかる。ギリギリの製作費から、食事は米ではなくすべてパンにすると告げた途端に大騒ぎとなってしまったのだ。ここは、監督の婚約者が毎日自宅から炊き出しを届けるということで解決した。
前に読んだ朝日新聞デジタルには「ノリウッド」は、ハリウッドにナイジェリアのNをとって付けた造語であるという通説とは別に、何もないところから映画を作るというNOTHINGのNからきたという説も書かれていた。なるほど。
まあとにかく、ノンフィクションWによると、予算もスケジュールもギリギリで、90分の作品を10日で撮る、撮影所なんてあるはずもなく、オールロケ。これが典型的なノリウッド映画。「Silhouette」の製作現場では、撮影と並行してすぐ隣で電柱の建設工事が始まって、撮った場面の途中のカットから電柱がもう一本増えているという不自然さもみせられたが、全体のてんやわんやの中では、自然なことなのかもしれない。
映像デザインを学び、CMも手掛けるCharles Uwagbai監督の発想やこだわりが、ノリウッド2000本の中で、どれだけ特別なものなのかどうかはよくわからないけれど、この最新作はナイジェリアで12月公開予定だということなので、WOWOWには、所定の権利料を払っていずれ放送して欲しいと思う。赤字になった製作費もカバーできることでしょう。もちろんヒットすれば予算の10倍の額が回収できるそうだけれども。
番組の前半では、製作現場密着取材のための確認作業として、ナイジェリアの映画の現況が紹介された。その内容は「未来世紀ジパング」での内容と大差なかったが、前者ではシネコンにかかるハリウッド映画の料金が5000円といっていたが、今回は1000円。
また、世界一の製作本数を支える屋台骨としての映画学校が国内に20以上あるということだった。アクションスターを養成する学校に通う生徒は、ジャッキー・チェンのようになりたいとコメントしていた。
アクションや、ゾンビもの、ラブコメなどが主流で、DVDによって流通し、街頭の有料テレビシアターや家庭のテレビで観られ、工場では月に170タイトル500万枚がプレスされているそうだ。ピンとはこないが、ノリウッド映画の収益は世界第3位800億円(2011〜2013年の合計、ナイジェリア輸出入銀行)とまで紹介された。映画産業には1万人が従事し、これは石油、農業に次いで国内3番目だという。これまた、ピンとこない数字だった。
参考までに、昨年12月にみたNHKの「Bizプラス」では、ロケ誘致などで映画産業による経済活性化をめざすニュージーランド(人口450万人)には、映画関連会社が約650社、映画産業従事者が1万5千人いるとレポートしていた。
(2013年7月7日)

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年間製作本数2000本を誇る世界一の映画の都ノリウッド [ナイジェリア]

2月20日にテレビ東京で放送された「未来世紀ジパング」という情報番組をみた。ナイジェリアの急速な経済成長に着目するのがこの週のテーマで、同国はBRICsに次ぐNEXT11(経済大国の予備群みたいなもの)のひとつで、今でもアフリカNo.1の人口(1億5千万人)は、2053年には中国、インドに次ぐ世界第3位に躍り出るという予測である。アフリカ西海岸(ギニア湾)に面した大都市ラゴスでは、西欧の投資による「エコアトランティック・シティ」という巨大プロジェクトが進行中で、数年後には姿を現すという超高層ビルで成り立つ未来都市のイメージは、まるでドバイのよう。世界有数の産油国であることも手伝って、アフリカ経済の中心になるべく、ナイジェリアは勢いづいているのだ。
そのことの、わかりやすい事象として、ナイジェリア映画がメインに取り上げられていた。ナイジェリア最大の都市ラゴスで製作される映画は、ハリウッドをもじって、ナイジェリアの「N」をとって「ノリウッド」と呼ばれていて、その製作本数は、インド・ボリウッドを超える年間2000本で世界一。
このことじたいは、他の情報番組や新聞記事などからでも知られていることだが、実際にこの「未来世紀ジパング」のカメラが現地に入ってのレポートは、貴重であると思う。
2000本と数える、その大量の映画の定義はさておき、これらは劇場ではまったく上映されていない。街にシネコンはあるが、そこでは、庶民には手も出ない入場料5000円という高額でハリウッド映画だけが上映されているそうだ。これに対してノリウッド映画はすべてDVDとなって、2枚で200円といった低価格で売られているのだ。国の経済の急成長は1999年の民政化以降だから、ノリウッド映画の歴史もたぶん相当に浅いのだろうと思うが、経済が活況とはいっても人口の7割は貧困層であり、しかし今ナイジェリア国民は、この安いDVDを買って、家庭で映画を娯楽として消費し、また堪能しているのだ。
ノリウッド映画は、ナイジェリア国内にとどまらず、アフリカ全土に流通し、また衛星放送でもみられている。イギリスには専門チャンネルもあるそうだ。これは在外の同胞の間で中国映画やインド映画がみられている形に近いのかも。
番組は、ノリウッドで人気トップのイマセウン監督の撮影現場にせまる。カメラは、動画も撮れるキャノンの一眼レフが使われている。ノリウッド1作品の製作費は150万円が平均で、恋愛や部族間の争い、汚職などのテーマが多いそうだ。国産映画が国民に愛好されているのは、彼らがエンジョイできる内容だからに他ならない。スタジオ・ゲストは同国出身のタレント、ボビー・オロゴン氏。ナイジェリア人にとって、この活況は誇りのようだ。
そして番組の現地ロケではもうひとり、コメディ俳優として100本以上の出演作を数えるアキという男優にも密着。その振る舞いや、周囲の扱いは、もう大スターそのものである。
単純にアフリカだからといって、巨匠ウスマン・センベーヌ監督の世界を想像していたら大間違いで、おそらく日本のかつてのVシネマのような、金太郎飴の低予算作品ばかりだろうけれども、熱烈に愛されている以上、その存在は世界的にも無視できない。何よりも、「未来世紀ジパング」は新興国としての期待の眼でナイジェリアをみていて、ノリウッドの映画製作を、100万人の雇用をうみ出す一大産業だと言い切っているのだから。しかし産業とはいっても、これはまた、アフリカの今の映像文化でもある。経済の飛躍に後押しされて、アフリカ、ナイジェリアの人々が世界規模で活動するような時代になれば、ノリウッド映画も中華圏やインド映画のように、流布していくのだろうか。

翌日2月21日放送の「地球テレビ/エル・ムンド」(NHK・BS1)ではUAE(アラブ首長国連邦)の映画を紹介していて、珍しい話題なので、ついでにここで。
この週では一週間、テーマ別にUAEの文化を取り上げていて、この日の話題は映画。公務員として働く一方で、同国の売れっ子俳優としても活躍している男性、ハビーブ氏を密着して紹介した。二つの顔を持つ兼業俳優とはちょっとヘンに感じるが、この国では、同じアラビア語圏だから海外作品が数多く入ってくるので、国内では産業としては小さく、俳優業だけでは食べていけないそうだ。逆に言うと、だから近隣諸国の外国人俳優が起用されることが多いそう。
このハビーブ氏も出演しているという、アリ・F・ムスタファ監督の「City of Life」(2009)が番組では流された。わずかなカットの紹介ではあるが、印象としては、ちょっと魅惑的。大都市ドバイの陰の部分をリアルに描いてヒットしたそうだが、当初はなかなか政府の上映許可がおりなかったそうだ。夜のバーのダンスシーン、テンポのいいアクションシーンなど、なかなか刺激的な映像が映し出された。酒や暴力におぼれて堕落していく若者が主人公。お涙頂戴やコメディが主流のUAEのなかで、飲酒や未婚の妊娠などのタブーに挑戦したという極めて野心的な作品に、公務員俳優が出演しているとは、それもそれで、剥き出しというか赤裸々な姿だ。
(2012年3月3日)



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