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ホラー映画の巨匠のUAE映画 [UAE]

「悪魔の起源〜ジン〜(Djinn)」(2013)は、実績あるハリウッドのトビー・フーパー監督によるものだが、アラブ首長国連邦のプロダクションで撮った作品なので、分ければUAE映画だ。福岡では劇場公開されなかったので、DVDリリースされたものをレンタルして観た。ショップでDVDを借りるのは、二年ぶり、人生で3枚目だ。
80分ほどのこぢんまりした出来で、異形や流血が引き出すショック連発の濃密なホラーを期待すると、物足らないばかりだろうと思う。しかしアラブの怪談話、すなわち、イスラムの超常世界を舞台にしたミステリアスなドラマだという視点であれば、興味も湧き立てられるのではなかろうか。なにしろ、この手のジャンルのアラブ映画は、僕の乏しい鑑賞歴のなかでも観たことがない。いや乏しいから観たことないのかな。
天地創造で、アッラーは土から人間を、光から天使をつくり、火からジンをつくったのだという。そして、人とジンが交わると禍々しいことが起きる…といった説明からドラマは始まる。
ジンとは妖怪のような存在と考えたらいいのだろうか。罪人に乗り移ることで、人間界に現れるのだそうだ。そのようにしてジンがとり憑いた女と人間の男が愛し合い、その二人の間に生まれた赤ん坊が、ジンである母親から引き離すために村人によって隠されたという例が出され、その行方知れずの我が子を探してジンが彷徨っているという、伝説のような話を紹介しながら、物語はあるアラブ人の夫婦に焦点をあてていく。
ニューヨークで暮らすこの夫婦は、どうも赤ちゃんを亡くしてしまったらしい。夫の新たな仕事のため、こどもの死後、故郷のUAEへ戻ってきた。夫の会社が用意した住まいは、超高級マンション。アラブらしい内装が美しく、好景気に沸くUAEを象徴するものとして、僕らがテレビの情報番組でみかけるようなタイプのものだ。
さてここから先、夫の不在中に、このマンションで妻が怪奇現象に遭遇していくという展開は想像に難くない。黒衣の影がチラチラ見え隠れし、フロント係や隣の住人の言動も怪しげ。新居を訪ねてきた妻の両親もその帰路で、姿なき何かに襲われていく。
ストーリー上、血しぶきが舞うような必然性もなく、アラブ映画としての自重があるのかはわからないが、魔的なものの具象化に頼らない精神世界の枠で撮られていることは本作の魅力だと僕は考える。
トビー・フーパー監督の手のうちを暴露するわけにもいかないので、怪奇現象の裏側にある真実にはこれ以上は触れない。ただ、ジンを悪魔と位置づけていいものかどうか、邦題がそのようになっているだけに、そういう疑問が最後に残った。
男女関係のなかにお化けの存在を置いた作品には、例えばタイだったら「ナンナーク」の各種映画があり東南アジアの風土をスクリーンに再現してくれるが、本作には、所変われば…といった楽しみが見つけられる。
(2014年8月4日)


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UAEレポートでの現地映画 [UAE]

2月21日放送の「地球テレビ/エル・ムンド」(NHK・BS1)ではUAE(アラブ首長国連邦)の映画を紹介していて、珍しい話題なので、ここに記録しておく。
この週では一週間、テーマ別にUAEの文化を取り上げていて、この日の話題は映画。公務員として働く一方で、同国の売れっ子俳優としても活躍している男性、ハビーブ氏を密着して紹介した。二つの顔を持つ兼業俳優とはちょっとヘンに感じるが、この国では、同じアラビア語圏だから海外作品が数多く入ってくるので、国内では産業としては小さく、俳優業だけでは食べていけないそうだ。逆に言うと、だから近隣諸国の外国人俳優が起用されることが多いそう。
このハビーブ氏も出演しているという、アリ・F・ムスタファ監督の「City of Life」(2009)が番組では流された。わずかなカットの紹介ではあるが、印象としては、ちょっと魅惑的。大都市ドバイの陰の部分をリアルに描いてヒットしたそうだが、当初はなかなか政府の上映許可がおりなかったそうだ。夜のバーのダンスシーン、テンポのいいアクションシーンなど、なかなか刺激的な映像が映し出された。酒や暴力におぼれて堕落していく若者が主人公。お涙頂戴やコメディが主流のUAEのなかで、飲酒や未婚の妊娠などのタブーに挑戦したという極めて野心的な作品に、公務員俳優が出演しているとは、それもそれで、剥き出しというか赤裸々な姿だ。
(2012年3月4日)

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