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Oliver Laxe監督の「Mimosas」 [モロッコ]

事前に眼を通したシノプシスでは、登場人物たちはアトラス山脈越えを目指すということなので、モロッコが舞台なのだろう。スペイン=モロッコ=フランス=カタール合作の、Oliver Laxe監督によるこの「Mimosas」(2016)は、十分には理解できないけれども、面白く観た。全体にわたって、宗教的な意味合いや解釈が込められているのかどうかまで、よくわからない。物語はひとつだが、3つの章に分けられている構成にも何か意味がありそう。しかしそういう重要かもしれないことを置いても、過酷な山脈を越えて遺体を届けようとするロードムービーとして、不思議に惹かれる作品だ。
移動を続けるキャラバン隊の中に、Sijilmasaという街で葬祭して欲しいとそこを目指したい老人がいる。しかしそうそうに息を引き取ってしまった。老人の目的地はルートから外れた山脈の彼方。危険だとキャラバン隊から遺体運搬を断られた老人の妻は、隊に混じっていた二人の若者に依頼し、それを引き受けた彼らの旅が困難を伴いながら始まる。
宗教家風の青年が道先案内人の如く二人に加わり、さらに口のきけない若い娘とその父親が加わる。厳しく険しい斜面や岩山が続く。遺体を乗せた馬が行方不明になったり山賊に襲われたりと、観ていて笑ったりハラハラさせられたり。
成り行き任せの旅なので、遺体運搬から誘拐された若い娘の救出へと、話が急旋回していきながら決着はみえない。みえないから心に留まった。
(2017年2月8日)


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17th BIFFから/カサブランカ連続爆弾テロを描くモロッコ映画「Horses of God」 [モロッコ]

カサブランカにある巨大な貧民街。そこで育った子どもたちは、タバコを吸い、酒を嗜み、草サッカーをやっては、いつもチェーン片手に喧嘩を繰り広げる。それは5年たって1999年、彼らがティーンに成長しても変わらない。警察から追われて、逃げ込む先はいつも、迷路のような巨大なスラムである。
YachineとNabilの兄弟も同様だ。髭面に成長した弟のYachineはオレンジ売りの仕事をしているが、兄のNabilはいつも飲んだくれて騒ぎを起こしている。そしてある日警察に連行され刑務所に入れられてしまう…。
それからさらに2年たった2001年9月。街の食堂のテレビは9・11同時多発テロの模様を伝えている。丁度その頃にNabilが出所してきて、兄弟は再会する。久しぶりの兄Nabilの、弟に対する面倒見のよさは変わっていない。Yachineが止まれず殺してしまったバイク修理屋の店主の遺体の処分を、Nabilは手際よく手伝ってくれる。
そしてその翌日にNabilは、Yachineとその仲間たちを、妙にもの静かで丁寧な男たちのところへ連れていく。男たちの前でのNabilは、血気盛んだった頃と比べると気味が悪いくらい穏やかである。Yachineたちもそこに滞在するようになり、イスラムの原理を叩き込まれていく…。1年経ち、Yachineもその思想にすっかり傾倒し、組織の中では兄Nabilよりも台頭している。「世界各地で苦しんでいる同胞のために!」 一心不乱の祈りが続く。
2003年5月になった。スラムで生まれ、スラムで育ったYachineたちは、昔を思い出したかのようにサッカーをする。振り返っても印象に残る場面だが、それはその翌日が「決行」の日だから。訓練を終えた5月16日、Yachineらは髭を剃り落とし、水浴びして体を清める。そして爆弾を背負わされ、配られた時計を正確に合わせるよう指示される。携帯電話の指令に合わせて歩く4人。表情もなく、とても怖い。一人は逃げ出してしまうが、残りの彼らは高級料理店へと入っていく…。
夜の街に爆音が響く! 少し離れた原っぱで、夜なのにサッカーに興じているスラムの子どもたちがいて、その子たちが、その爆発の光景をじっと見入っている。…続いてのテロップが、この作品はカサブランカの中心部5カ所で起き45人の犠牲者を出した「カサブランカ連続爆弾テロ」を下敷きにしていることを伝える。
作品を観る限り、テロを実行したのは、9.11同時多発テロの頃に結成されたイスラム原理主義組織、そのグループにリクルートされたスラムの貧しい青年たちということになる。
10月9日、Lotte Cinema Centum City 4にて鑑賞した、Nabil Ayouch監督によるモロッコ・フランス・ベルギー合作作品「Horses of God」(2012)は、極めてリアルで身震いする程の恐ろしさのあるアラブ映画だった。出だしこそ、題名の似た映画「City of God」のリオの貧民街の少年たちのよう。本作の空撮でとらえた巨大なスラムは、とにかく圧巻の絵である。これはCGではなく、現実の姿なのか。
題名は、訳すと「アッラーの馬たち(兵士たち)」ということになる。ジハードへの呼び掛けにおいて使われた言葉だ。ここではこの作品のスラム出身の青年たち、すなわち「カサブランカ連続爆弾テロ」の実行犯のことを指す。戦国の時代ものや戦争を描いた映画を観ていても、斬られたり射られたり、撃たれたりして死んでいく兵士ひとりひとりに心を痛めてしまうわたくしである。テロの犠牲者など一般市民はまずもちろんだが、こういう兵士たちの命のはかなさも積み重ねて人間の歴史が作られるということを、わかっていながらも、割り切れなく感じる。
やはり、この「Horses of God」の中で重要と思われるのが、草サッカーだ。教えられた原理に自らの運命を預けるYachineたちの物語は、サッカーに始まりサッカーに終わる。そこには、ゲームに興じる単純な喜びがみえる。そして、彼らの決行を遠くから目撃する夜の少年たちが楽しんでいるのが、これまたサッカーであるということが、ある意味、不気味なアラブの作劇だ。
(2012年12月23日)

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