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第72回ベネチア国際映画祭上映の「Madame Courage」 [アルジェリア]

第72回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門で上映されたなかのアルジェリア=仏映画「Madame Courage」(2015)を観た。アルジェリアのベテラン、Merzak Allouache監督による不良少年の話で、二年前にはコンペ部門にも入選している監督だそうだ。
Omarは母子家庭で、スラムのボロ小屋に姉と住んでいるティーンエイジャーだ。ひったくりの常習犯で、お世辞に言っても人相は良くない。いや悪いと思う。物語は、ネックレスを首から強奪しておきながら一目惚れしてしまったある女子高生へのナイーブなストーカー行為の繰り返しと、売春か何かの手伝いをしている姉に対して暴行を働いたその仲間の男への復讐、このふたつが軸だ。Omarは、まるでフリスクでも口にするかのように、軽やかにドラッグを常用している。
“Madame Courage”と呼ばれているこのクスリの名前が作品のタイトルでもあり、試しにネット検索すると、向精神薬であるというこの錠剤の写真が次々出てきて、僕のこの検索履歴って、ちょっとヤバイかもと思うほど。
劇中のOmarの言動はこのクスリによって大胆にもなり、向こう見ずにもなる。クスリを飲んだ後のニヤニヤ顔と、心奪われた女子高生の盗撮写真を眺めてのニヤニヤ顔の違いが見えず、何とも薄気味悪い。前述のとおりその顔つきからも、薄気味悪いと思えば思うほど、Omarに対しての共感が、申し訳ないが僕には十分にはおりてこない。
毎晩彼が路上から眺めている女子高生の部屋、いつも彼が標的としている金目の入ったバッグを下げた婦人たちの住む家々、Omarのような不良少年たちが住む場所は、そこではない、別のアルジェリアだ。
Omarのつきまといがエスカレートしても、女子高生本人は好意的なのだが、ついに女子高生の家族から警察に突き出されて「お前、“Madame Courage”をやってるんだな」と問い詰められる終わり近くで、このクスリがそういう名前であって、タイトルとなっていることを知る。これが、スラムの不良少年のアイデンティティを象徴する存在なのかしら。
サッカーがスラムの不良少年の拠りどころになっているアラブの映画はよくお目にかかるが、それがドラッグとなると、こちらの気分を重たくする方向で訴求してくる。ボーイ・ミーツ・ガールという展開からみると、棘ばかり立っていてチクチクするようなドラマだ。
(2015年9月15日)




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