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映画「セチンハンルー・チンギスハーン最後の末裔」について [モンゴル映画]

もう1か月以上も前の、NHK・BS1「アジアクロスロード」1月29日の放送で、モンゴル映画の情報を取り上げていた。出掛けた先で偶然に番組を見ただけで、録画をしていたわけでもなく、メモをとっていたわけでもないので、断片的な記憶が残っているだけなのだが、頭の中から消えてしまわないうちに書き残しておこうと思う(もう1月のことだけれど)。
映画の題名だけはしっかりと覚えていて「セチンハンルー・チンギスハーン最後の末裔」。NHKの解説員と静岡大学の内モンゴル出身の先生がスタジオ出演して、作品のシーンを交えながら、映画を紹介した。
耳に残っているのは、これがモンゴルと内モンゴルとの初めての合作映画だと語られていたこと。監督は確か中国側(名前を忘れてしまった!)で、撮影は、モンゴルの名カメラマンであり映画監督の、L.シャラブドルジ氏。
さて、福岡のアジアフォーカスは、モンゴル映画のショーケース的な役割を当初から果たしていて、過去からのモンゴル映画の名作を、東京、ヨーロッパへと発信してきた。シャラブドルジ氏は、近年のモンゴル映画の主要な作品「マンドハイ」(88)「風雲の聖者」(92)「ぼくはモンゴルの子」(92)「新文字先生」(98)などを手掛けてきた重要人物で、福岡映画祭には何度も来られているし、アジアフォーカス10回記念の東京イベントでもゲスト参加され、小生はそのときに氏のアテンドを担当したのだけれど、映画上映にはモンゴル力士も来られて、上映会場のパイプ椅子ひとつで大丈夫かなあと心配したことをよく覚えている。
ということで、シャラブドルジ氏の健在ぶりを確認できた、偶然見たこのNHKの番組のことを引き摺って、いま書いているわけである。
この「セチンハンルー」は実話の映画化で、英雄チンギスハーンの血を継ぐ32代目の直系子孫になる、内モンゴルの最後の王女セチンハンルーの、中国建国の激動の時代、波瀾に満ちた人生を描いているそうだ。モンゴルでも2月に劇場公開と確か紹介していたが…。
(2010年3月7日)

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韓国・モンゴル・フランス合作「Desert Dream」 [モンゴル映画]

これは、第57回ベルリン国際映画祭コンペ部門にも出品された傑作だ(原題「HYAZGAR」)。人間の生が、乾いた大地を背後に置いた映像から静かに、強く浮かび上がってくる。語りたいことがいくつもあるので、ひとつずつ述べたい。
まず内容だ、モンゴルを舞台にした脱北者の物語である。息子チャンホを連れたまだ若い女性スンヒ、北朝鮮のこの母子が、中国と国境を隔てるモンゴルの小さな砂漠の村にたどり着く。そして、愛想をつかされて妻子と別居したばかりの男フンガイのパオに転がり込む。フンガイは、口数少ないモンゴル男だ。この三人の奇妙な共同生活が始まるが、それは乾いているようでもあり、血が通ったようでもある。
砂漠での植樹に固執するモンゴル男と、北朝鮮から遠路を逃れてきた母子の関係を、独特の映像表現で描くチャン・リュル監督。朝鮮族(韓国系中国人)で在中3世、もともと中国文学の教授で、映画製作を一切学ばずに中国を拠点に映画を撮り続ける異能の作家だ。数々の映画祭賞を獲得した前作の「キムチを売る女」(05)が日本でも近く劇場公開予定だ(本作と同様にスンヒとチャンホという名の母子が登場する)。中国の少数民族のひとつである朝鮮族を睨んだ作品を、一貫して取り続ける、今後もその活動を追い続けねばならない映像作家である。
スンヒ役のソ・ジョンはキム・ギドク監督の衝撃作「魚と寝る女」の釣り場の女管理人役だった女優。そしてモンゴル男フンガイを演じるのが、モンゴル映画界の雄O.バトウルズィーである。モンゴル国内で活動する映画人としては、いま最も傑出した一人といえよう。もともとは俳優だが、監督作「心の言葉」「逃亡者トゥムル」で佐藤忠男氏に見出され、アジアフォーカス・福岡映画祭で上映されて国際的に飛躍した。2006年には監督作「あなたがいない時」で同映画祭に招かれた。これは韓国を舞台にした出稼ぎのモンゴル男の物語だったが、来日時に、俳優として韓国映画に出演するプロジェクトがあると静かに語っていた。彼の俳優としての作品を見たのは本作が初めてだが、とても好きだ。彼のようなタイプ、モンゴル映画でときどき見せつけられる鮮烈なダンディズムにはなんともしびれてしまう。野生動物の如きセックスシーンもあったけれど、共同プロデューサーとしてクレジットされている彼の奥さんサラントヤーにとっては何てことないのかしら。
さて昨今、国際関係の話題は、北朝鮮中心にまわっている(イランもだけれど)。北京五輪を控えた中国当局の治安対策のため、脱北ルートはこれまでの中国から韓国入りするケースから、モンゴルや東南アジア経由のケースが増えてきたと報道されている。そんなことも少し思い出しながら観た「Desert Dream」だが、とにかく、ただただ圧倒された。そしてまだ何度でも観たい。
(3月20日/香港・時代廣場UA4院)


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