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映画づくりにおいて焦点をあてることも立派な国際支援だと思う [東ティモール]

この「裸足の夢」(2010)は、東ティモールの人々にとっては、とても嬉しい外国映画だと思う。21世紀最初の独立国家に敬意を表し、国の未来や希望を感じさせる、好意的な作品として仕上がっているからだ。なので舞台背景当時の大統領グスマン氏も本人役で顔をみせているのだろう(5、6カットほど顔をみせているが、最初にひょっとしてグスマン?と思っていたら、3カット目くらいでテロップが入った)。東ティモール独立の父グスマン氏のことについては、出演されているドキュメンタリー作品があり、以前にインドネシアで観てそのことを書いたので、ご覧いただければ。
さてこれは、韓国人のコーチが東ティモールの少年サッカーチームを国際親善大会での優勝に導いたという実話を元に、キム・テギュン監督が撮った韓国映画である。特別なスターも出ていなくて(と思う)、メインの俳優はほぼ二人の韓国人。横道にそれるような恋愛エピソードあたりもなく、とにかく一本気な物語だ。
キム・ウォングァンという元サッカー選手が独立後のディリの街にたどり着いて、心機一転、スポーツ用品店を開くことにするが、うまくいかず、地元の少年たち一人ひとりに一日1ドルの月賦でサッカーシューズを売りつける。商売のつもりが、キムは彼らの指導をすることに。しかし東ティモールの子どもたちには、それぞれ事情があった。貧しいだけでなく、両親を失い教会で生活していたり、栄養失調で失明の危機にあったり。また、殺し合いになった家族の子ども同士がひとつのチームに属していて、当然連係プレイもうまくいかない。1975年より続いたインドネシア占領下、西ティモールからの侵攻により人口の4分の1、20万人もの犠牲者を出した歴史が冒頭で語られるが、その傷跡が現在でも色濃く残っているのだ。
キムは皆を勇気づけるため、国際大会出場をめざす。それは過去の栄光とは裏腹に挫折者となった自分じしんのためでもあった。紆余曲折を経て、韓国大使館員の世話も受けながら、ついに2004年3月、チームは大会の開催される広島を訪れた…。(東ティモールに大使館があって、こんなに親身な外交官がいたんだ!)
10月末に熊本で行われる東アジア市民共生映画祭2012でこの作品を観るつもりでいたが、福岡で始まった「移動映画村<韓の風>inベイサイド」というイベントで、10月17日に九州初公開で上映するというので、そこで拝見。別に一週間でも早く観たかったというわけではなく、移動式の映画館での上映!と聞いたから。会場となるのは博多ふ頭の博多ポートタワー横で、そこに7,80人程収容可能な白いテントが立っている。芝居をみるために、六本松や能古、姪浜、百道浜に来た紅や黒のテントに足を運んでいた昔のことが思い出される。
今回、テントの向こうは海。その裏側をのぞくと輸送用の大型トラックが横付けされていて、そこから映写するようだ。デジタル上映だが、画質はお粗末、ビデオテープを液晶高画質テレビでみるかのようで、サッカーのような速い動きには、画像がついてゆかない。テント内部は椅子がパラパラと並べられていて、足元は砂利の地べたの感触が最初から最後までワイルドだぜ。野外だけに、劇中の裸足の少年たち同様に大地を体感できた。
ちなみに翌日のプログラムは、強風のため上映中止になっていた。これまたワイルド。
(2012年10月22日)



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アジアで最も若い国・東ティモールの歴史を描いたドキュメンタリー [東ティモール]

終戦記念日を迎え、日本のいまの平和のありがたさを噛み締める一方で、独立後のいまも騒乱が続いてなかなか国づくりが進まない東ティモールへと思いを寄せる。
インドネシア東部のティモール島に位置し、インドネシアの24年に及ぶ圧政に耐えて2002年に悲願の独立を果たした東ティモール民主共和国(人口92.5万人)は、アジアで最も若い国である。独立後初の大統領選が今年4月に行われ(ある県では6万人の有権者に対して30万の投票集計となった!)、翌5月の決選投票でノーベル平和賞受賞者のラモス・ホルタ氏が圧勝。そして6月の総選挙では、そのホルタ第二代大統領の盟友グスマン(前大統領)が率いる新党・東ティモール再建国民会議が躍進し、選挙後の国づくりに向けて治安回復をめざすことになった。しかし。政権を失った最大政党フレティリンは新政権に対する抗議行動を続け、放火や投石、衝突が絶えず、暴動が繰り返され市民生活が脅かされている。混乱を引き起こしている国内の政治対立は、まだまだ終わりが見えない…。
つい1週間前に新首相に就任し、旧野党4党による反フレティリンの連立政権を築いたそのシャナナ・グスマン氏は、2002年の独立直前、国連暫定統治下での選挙で初代大統領となった人物で、国際社会からも認められているカリスマである。インドネシアの24年に及ぶ占拠に対しゲリラ闘争を指導し、ジャカルタで7年の獄中生活も経験した東ティモールの国民的英雄、東ティモール独立の父だ。その彼が主演し、ナレーターまで務めた貴重なドキュメンタリー映画がある。
それは、シンガポールのGrace Phan監督による「A Hero’s Journey」(のちに「Where the Sun Rises」と改題)。東ティモールの人々の苦悩の歴史を、その美しい自然とともに描いたもので、グスマン氏の人物像がよく出た作品である。昨年12月16日、愛国を占領したかつての敵インドネシアの地で開催された第8回ジャカルタ国際映画祭において、インドネシア国民の前でもついに公開されることとなったのだ。同映画祭では一方で東ティモールを扱ったドキュメンタリーが何本も映画検閲局の上映禁止処分を受けているものの、この「A Hero’s Journey」の上映は、厳戒な警備こそあったが、極めて和平ムードのなかで行われた。何と、国家元首であるグスマン大統領(映画祭の時点では現職)が映画祭ゲストとして参加したのだ! そしてかつて血の闘争を繰り広げたインドネシア軍の指揮官と同じステージに立ち、握手を交わしたのである!
映画では、グスマン大統領自らが、インドネシア軍とのゲリラ戦で家族を殺害された少女、足を失った元兵士などを訪ね歩く。そして深い悲しみの歴史に対峙するが、そこから憎しみを敢えて生み出そうとはしない。それは、2007年1月のTIME誌でのインタビューで“インドネシアによる占領は歴史的な過ち、それを許すことで最も近い隣国と良好な関係を築くことができる”とグスマン氏が語っているとおりだ。Grace Phan監督から後日、題名を改める旨(『英雄の旅』から『陽が昇るところ』へ)のEメールをもらったが、それはグスマン氏自身の意向とのことだった。
とはいえ、両国が共通の歴史認識を持つことは簡単ではないだろう。同じ隣国同士の日韓でさえ、これだけ文化交流が進みながらも歴史認識は一致していないという現実があるのだから。
(2007年8月14日)

第8回ジャカルタ国際映画祭での「A Hero's Journey」のインビテーション・カード。裏面にグスマン大統領も参加、とある


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